アイリッシュウイスキーの熟成要件は、スコッチウイスキー規則2009に定められたスコットランドの要件の多くを反映しています。
スコッチウイスキー規則2009とアイリッシュウイスキー・テクニカルファイル2014はどちらも、700リットル以下の容量の樽で最低3年間熟成する必要があり、キャラメルE150A以外の添加物は使用できないと定めています。
しかし、スコットランドでは許可されておらず、アイリッシュウイスキーに許可されている重要なことがあります。それはオーク以外の樹種の樽で熟成することです。
スコッチウイスキー規則では、熟成のために「オーク樽の使用」が義務づけられていますが、アイリッシュウイスキーのテクニカルファイルでは、単に「木製の樽」を使用するよう定められているのです。
これによってアイリッシュウイスキーの生産者は、フレーバー、革新性、そして世界的な競争の面で、他のほとんどのウイスキー生産地域に対して間違いなくアドバンテージを持っています。
オーク以外の樹種は、必要な熟成とカスクフィニッシュの両方でどんどん人気が高まっています。多くのアイルランドの蒸留所がこれらの希少な非オーク樽で実験するにつれて、各タイプの木材がウイスキーとどのように相互作用するかについての理解が深まり、それは強力な差別化要因になりつつあります。
オーク以外の種類の木材によって生成される独特のフレーバーが、今後数年間でアイリッシュウイスキー市場の重要な成功のカギの1つになるかもしれません。
ただし、このアプローチにはいくらか制約があります。それはオーク樽に比べて入手が容易でないことです。オーク以外の樹種の樽の利用が法的に許可されている産業は非常に少ないため、非オーク樽を積極的に製造する会社は世界にほとんどありません。それでもワインやクラフトジンなどのホワイトスピリッツの一部業界では、近年これらのユニークな樽を利用し始めており、供給力は少しずつですが向上しています。
またスコッチ熟成用のオーク樽は、バーボンやワインを熟成した後に中を焼いて使用されますが、オーク以外の樹種の樽の場合、他のスピリッツやワインで満たされた履歴のない新品の状態でチャーまたはトーストされ、蒸留所に配送されてきます。スピリッツやワインによって内側がマスクされていないため、樽の木材からの影響がストレートにウィスキーにもたらされます。
Juniper (ジュニパー)
Amburana (アンブラナ)
Mulberry (桑)
Chestnut (栗)
Wild cherry (ワイルドチェリー/西洋実桜)
Acacia (アカシア)
上記のようなバラエティに富んだ木材が、この大変興味深い実験に使用されています。