このテーマは以前「ボトラーズ・ブランド(2021/6/17)」で書きましたが、業界でのボトラーズの役割と意義について情報を追加します。
インディペンデント・ボトラーズ
インディペンデント・ボトラーズとは、独立したラベリングで瓶詰するために蒸留所から新しい、または熟成したスピリッツを購入する人たちです。
ボトラーズは通常、蒸留所に比べて商品開発に大きな柔軟性を持っています。蒸留所が自分の名前で10年、12年、15年、18年、21年、25年などをリリースする場合、その後もそのラインナップを同じ品質で何度も再現できなければなりません。
一方、ボトラーズは蒸留所から樽を受け取ると、そこからさまざまな樽(ワインフィニッシュ、マディラ、ポートウッド、カルバドス、テキーラなど)を試したり、さまざまなアルコール度数(カスクストレングスから40%まで)に変化させることが可能です。
さらに、多くの異なる蒸留所の原酒を使ったり、シングルモルトやブレンド、グレインなどさまざまなタイプのスコッチを使用できます。スコットランド以外のウィスキーまで視野に入れることができ、極めて多様なポートフォリオを作ることができるのです。
ボトラーズに対する制約
ところで、スコッチウィスキー業界には厳しい規制があり、ボトラーズもスコッチウィスキー協会(SWA)が定めた規則を遵守する必要があります。これに加えて、蒸留所はボトラーズに樽を販売するとき特定の条件をつけることがあります。蒸留所の名前をラベルに表記することを許可するかどうかは蒸留所が決めるのです。蒸留所の名前をラベルに印刷できることはボトラーズにとっては大きなセールスポイントになります。
商品のリリース時期が蒸留所によって制約されることもあります。たとえば蒸留所のオフィシャルボトルがリリースされる前にボトラーズの商品をリリースしてはならない、などの条件が付されることがあります。
ボトラーズが行うこと
ボトラーズが行うことは大きく以下の3つです。
- 熟成したウィスキー樽を購入して、すぐに瓶詰する
- 熟成したウィスキー樽を購入して、さらに別の樽に入れて熟成させる
- 蒸留したばかりのスピリッツ(NMS)を購入して、自社またはサードパーティの倉庫で熟成させる
展望
この10年で世界中のボトラーズへの関心は大幅に高まり、その結果入手が非常に困難になりました。ボトラーズの中には、設立して数年しか経っていないのに素晴らしいドラムをリリースするところがあり、瓶詰めの3か月前に予約で売り切れてしまう事態も生じています。
近年、消費者側の意識は少しずつ変わり、かつてのように熟成年数の長さだけでウィスキーを評価することが少なくなったのは業界にとっては明るい兆しです。こうした傾向が、革新的なボトラーズや新しい蒸留所を受け入れ始めています。