ウィスキーの熟成に必要な樽を造ったり修理する職人をクーパー(Cooper)といいます。樽はウイスキーにとって、アルコールを保持するだけでなく、使用される木材に応じて異なる風味をスピリッツに与えるため大変重要です。ウイスキーのフレーバーの65%以上は実際に木材由来と言われています。
もしクーパーがいなければ、ウイスキー業界のビジネスはすぐに停滞するでしょう。しかしクーパーは、業界の中では舞台裏の仕事です。
クーパーは、樽をベンチに持っていって、ワイヤーブラシをかけ、壊れたヘッドやさびたフープ、その他の欠陥を探します。その後フープを取り外してキャスクを開き、キャスク内のフレーバーが変わらないよう、必要に応じて同様のタイプのキャスクから持ってきた木材と交換します。その後キャスクは伝統的なツールを使って再び閉じられます。ヘッドを交換した後、漏れがないかテストして全体に欠陥がないか最終チェックします。
クーパーは、このプロセスを平均して1日に15~20回繰り返します。40ガロンのバーボンバレルもあれば、112ガロンのシェリー・バットまであります。
もしあなたがクーパーになりたいなら、他の業界の職人と同様に見習いから始めて、最終試験に合格しなければなりません。これには4年程度かかります。つまり大学に入って学位を取得するのと同じくらい時間がかかります。職人ですから一生懸命働く覚悟はもとより、良い目と器用な手、精神的なタフさが求められます。
スコットランドには約300人の熟練したクーパーがおり、ほとんどがインディペンデントでそれぞれが特別な手作りの道具を使用して仕事をしています。スコットランドに自社の樽製造所を持つ蒸留所はわずか4ヵ所です。
現在でもウィスキー樽の製造と修理は、珍しい工芸品と同様のレベルで、何世紀も前のスキルによって支えられているのです。