マスターブレンダーは、さまざまな特性を持つウィスキーを組み合わせて特定のブレンデッドウィスキーを開発する人です。スコッチウイスキー業界では、マスターブレンダーが特定のブランドのブレンデッドウイスキーに使用するモルトウィスキーとグレインウイスキーを選択します。
マスターブレンダーの2つの役割
- 同じラベルで製造されたすべてのバッチが、以前のバッチと同じ味になるようにすること
- 既存のラベルとは異なる新しい魅力的なブレンドを開発すること
ブランドに一貫性を持たせることは、マスターブレンダーの大きな責任です。
そのためウィスキーが穀物の状態からグラスに注がれるまで、すべての工程でウィスキーの品質に目を配ります。サプライチェーンの各ポイント、すなわち原材料の調達から、いくつかの蒸留所のNMS(樽詰めする前のスピリッツ)、充填前のオーク樽、充填後のオーク樽、成熟した樽、瓶詰めした製品など、常に注意深く観察します。
ウイスキーの供給プロセスのさまざまな部分で、1日あたり数百のサンプルをノージングすることもあります。例えば、NMS、バッチを作るための成熟した樽のサンプル、瓶詰めサンプル、試験中の樽サンプル、現場での水のサンプルなどをチェックします。
蒸留所の他の部門との連携は欠かせません。毎週蒸留所のマネージャーと連絡を取ってスピリッツの品質を確認し、樽の供給マネージャーは、樽の供給を確実にするため、スペインから最高級のシェリー酒のバットとホッグスヘッド、北米から熟成のためのEXバーボン樽を確保し、ブランドチームは消費者が引き続きブランドに注目してくれているか確認します。
マスターブレンダーに必要なスキル
1.利く鼻
いうまでもなく、味のニュアンスを鼻で嗅ぎ分け検出する能力が必要です。さまざまなタイプのよい香りを記憶し、それらを他の人に一貫して明確に説明できることも重要です。
2.ウイスキーへの情熱
蒸留工程、オーク樽の熟成、熟成したモルトとグレインウイスキーのブレンドなど、ウイスキーの製造工程で生み出されるフレーバーとキャラクターの多さに感動する心がなければ、ブレンダーとして成功するために必要な長年の訓練に耐えられないでしょう。
3.サプライチェーン全体で協力関係を構築する能力
マスターブレンダーだけの力で、一貫して高品質のスコッチウイスキーを製造することはできません。サプライチェーンのすべての担当者 - 蒸留所のマネージャー、樽のサプライヤー、ブレンドおよびボトリングマネージャーなど - すべての関係者と協力関係を構築する能力が必要です。広報宣伝やマーケティングなどを担当する外部の組織とのコラボレーションも重要になります。
スコッチウイスキーの人気が高まるにつれ、マスターブレンダーには一貫性の維持だけではなく、新しい表現が求められています。新しいフレーバーを生み出すためには、原材料、蒸留所のプロセス、樽の熟成/仕上げ、ブレンドなどを見直し、多くの試行が必要です。これには数か月、場合によっては数年かかる場合があります。
マスターブレンダーの仕事の中で、自身の鼻で香りを嗅ぎ分ける(ノージング)プロセスだけは、100年前と変わりません。もっとも年間のノージングの回数は100年前とは比較になりません。