アメリカン・ウィスキーの代名詞であるバーボンはどの州で造ってもバーボンを名乗れますが、生産の中心地はケンタッキー州で95%近くはケンタッキーで造られています。
アメリカ独立戦争で独立派の支援を行ったフランス・ブルボン王朝に感謝の意をこめてケンタッキー州の一部の地域が「バーボン郡」(ブルボンの英語読み)を名乗り、この地で造られたウィスキーの樽にその地名を刻印して南部の都市に運んだため、このウィスキーがバーボンウィスキーと呼ばれるようになったと言われています。
一時期200近くに及んだ州内の蒸留所は、1920年からの禁酒法時代にほとんど閉鎖され、その後も残った生産者の集約が進み数えるほどになったが、現在では州全体でクラフト蒸留所が急増し、その数は70ほどにまでなっています。
バーボンの特徴
【原料】
トウモロコシを51%以上使用することが法律で義務づけられています。トウモロコシの他に、ライ麦、小麦、モルト(大麦麦芽)が使用され、ライ麦が多いとスパイシーに、小麦を使うとマイルドでソフトな舌触りになると言われています。
【水】
ケンタッキーもテネシーも、ライムストーン・ウォーターと呼ばれるミネラル分豊富な良水に恵まれています。この、ややアルカリ性の硬度300~350くらいの硬水を粉砕した穀物に加えて煮沸し糖化します。このとき「バックセット」と呼ばれる酸性の蒸留廃液を加えて糖化を促進するのですが、これをサワーマッシュ方式といい、現在はほとんどのバーボンがこの方式を採用しています。
【蒸留】
「ビアスチル」と呼ばれる連続式蒸留器で55~60%に蒸留されたローワインを、「タブラー」と呼ばれる精留装置で65~70%に蒸留します。スコッチウィスキーと比べて蒸留度数が低く、その分香味成分が多く残ります。
【樽】
スコッチが使用済みの樽を使用するのに対して、バーボンでは内側を焦がした新樽の使用が法律で義務づけられており、これがバーボン特有の力強さとフレーバーをもたらします。
なお、熟成4年未満のものはラベルに熟成期間を表示する義務がありますが、4年以上のものには表示義務がないことから、多くのケンタッキー・ストレートバーボンは4年以上を熟成年としています。