世界のウィスキー市場は、他の市場と同様、COVID-19の影響を大きく受けました。ホテル、レストラン、バー、ウィスキーショップが閉鎖され、世界各地で観光客が減少しました。
しかし、長い目で見ればウィスキー市場は右肩上がりに成長を続けると予測されています。特にAPAC（アジア太平洋地域）の発展途上国、インドと中国でウィスキー需要が高まっています。Diageo PLCによれば、2016年に100を超えるウィスキーバーが中国でオープンし、2017年上半期にはスコッチウィスキーの中国への輸出量は対前年45％増加して2,700万ポンドに達しました。
近年の健康志向を反映したオーガニックウィスキーへの嗜好の高まりや、新興市場からのスコッチウイスキーの多様性に対するニーズもウィスキー市場の成長の一因です。
一方、米国のウイスキー市場では、革新と多様化を伴うブランドのプレミアム化が進んでいます。これによって過去5年間、ハイエンドのプレミアムおよびスーパープレミアムブランドが成長を牽引しました。ハイエンドのプレミアム収益は37％増加し、スーパープレミアムは136％増加しました。
さらに、フルサービスのレストランやカフェ/バーを含むオントレードでのスピリッツの需要の急増により、米国でのウイスキーの需要はさらに増加すると予想されています。
ウィスキー市場の特徴
世界のウイスキー市場は、次のような数社の巨大企業によって支配されています。
1. アサヒビール（Asahi Group Holdings, Ltd）
2. ディアジオ（Diageo PLC）
3. バカルディ（Bacardi Ltd）
4. ペルノ・リカール（Pernod Ricard S.A.）
5. サントリー（Suntory Holdings Limited）
巨大企業のシェアを除いた残りは支配的なプレーヤーのいない、非常に競争の激しい市場となっています。
ウィスキーの主要消費国
2020年のトップ5は次のとおりで、日本はウィスキー産業に貢献していることがわかります。
1. インド 16,557 百万米ドル
2. アメリカ 16,480
3. タイ 6,261
4. 日本 5,216
5. フランス 4,025
ウイスキーセグメントの売上は2021年に全世界で79,596百万米ドルに達し、以降の5年間で市場は毎年8.17％成長すると予想されています。今後10年間でほぼ2倍になり、2031年までには1,080億米ドルに達するとのことです。
市場調査会社ファクトMRによると、このうち米国が今後10年間でウイスキーの収益の30％を占めると予想しており、米国の飲酒者はスーパープレミアムセグメントに特に関心を持っているとのことです。実際、米国の蒸留酒評議会（Discus）によると、2020年の米国でのスピリッツの収益成長の40％は、スーパープレミアム製品の売上が占めていました。ファクトMRは、スーパープレミアムウイスキーの需要は引き続き増加し、最終的には2031年までに5分の2の市場シェアを獲得すると予測しています。
また発展途上国で可処分所得が増加していることも、ウイスキーの消費が今後数年間で加速する要因になると予想されています。