バーボンの約95%を生産するケンタッキー州には約70の蒸留所があり、このうちメジャー蒸留所は次の9か所です。
・バートン 1792
・ブラウンフォーマン
・バッファロートレース
・フォアローゼス
・ヘブンヒル
・ジムビーム
・メーカーズマーク
・ワイルドターキー
・ウッドフォードリザーブ
それぞれに個性豊かなウィスキーを生産しており、フォアローゼスやジムビーム、メーカーズマークなど日本の会社が所有する蒸留所のウィスキーは日本でもポピュラーになりました。その上で、これだけは外せないバーボンウィスキーを生産する蒸留所をあえて選ぶとすれば、「バッファロートレース」と「ワイルドターキー」ではないでしょうか。
バッファロートレース/Buffalo Trace
19世紀にベンジャミン・ブラントンが設立した蒸留所で、何度か名前を変更した後、1999年から現在の名前になりました。蒸留所のあるリーズタウンは、かつて季節ごとに移動を繰り返す野性のバッファローの通り道(トレース)になっていたことから名付けられました。
アメリカ最古の蒸留所のひとつと言われる伝統を誇り、1920年に始まった禁酒法時代でさえ、医薬目的で蒸留を許可された全米4か所の蒸留所のひとつで、別格扱いだったと言われています。
この蒸留所は少量生産のスペシャルウィスキーを造り分けることで知られています。蒸留器はバーボン用のビアスチルとタブラー1セットのほか、ウォッカ用の連続式蒸留器、さらにケトルと呼ぶ巨大な単式蒸留器などがあり、多種多様のウィスキーやスピリッツ造りが可能になっています。
バッファロートレースは8年から12年もの長期熟成させた原酒からさらにセレクトしてボトリングし、上品で深みのある甘味を実現した、スモールバッチ(少量生産)のプレミアムバーボンです。
この蒸留所で生産するもう一つのプレミアムバーボンが、ブラントンです。
コーンの比率を高めたレシピで糖化、発酵、蒸留された原酒は4年の熟成期間を経て、香り、深み、味わいのすべての項目で合格した樽だけが専用倉庫に運ばれ、さらに4年間を過ごすのです。
他の樽の原酒と混ぜることは決してなく、ラベルには蔵出し日、倉庫、樽などが手書きで記される。文字どおりのシングルバレル、スーパープレミアムバーボンです。
キアヌ・リーブス演じる「ジョン・ウィック」が、コンチネンタルホテルのバーで飲むウィスキーがこのブラントンです。私がブラントンを初めて買ったきっかけはこの映画でした。