クラフトビールという言葉は最近よく耳にすると思いますが、近年小規模な設備で限られた量のウィスキーを生産する蒸留所が出てきました。これらを「クラフト蒸留所」と呼んでいます。
英語ではcraft distilleryの他にmicro distilleryと言ったりしますが、クラフト蒸留所に統一された定義はありません。
蒸留から瓶詰めまで文字どおり手作業で行う蒸留所もあれば、オーガニックにこだわり再生可能エネルギーを使って蒸留を行う蒸留所もあります。
スコッチウィスキーは最低でも3年間の熟成が必要なため、蒸留所を設立して最初のウィスキーを市場に出すまでには長い時間がかかります。そこで創業期には熟成期間が不要なジンなどのスピリッツを生産して、当面の生計を立てるケースが多いようです。
スコットランド西海岸でノックニーアン蒸留所が2017年に蒸留を開始したのを皮切りに、イギリスでは小規模の蒸留所が独立系ボトラーや個人投資家によって建設される動きが出てきました。
設立されたばかりのクラフト蒸留所から本格的なウィスキーが一定量出荷されるまでには、10~20年の時間が必要ですが、新たなフレーバーの追及という観点から見れば、先にご紹介したNASやカスクフィニッシュと同様、愛飲家に歓迎される動きではないでしょうか。